スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは、専務の富村レオです(^^)
改造図鑑、第20回。今日は機種の話ではなく、ずっと避けて通れなかった話題をやります。
エミュレータです。
レトロゲームの話をしていると、必ず出てくる言葉ですよね。でも、ちゃんと説明されることは意外と少ない。
最初に、はっきりさせておきます。

この記事の立場
この記事は技術と文化の話であって、やり方の紹介ではありません。ソフトのデータを吸い出したり配布したりする行為は、たとえ自分で買ったソフトでも法律に触れる可能性があります。具体的な機材名・入手方法・手順は一切書きません。遊ぶなら公式の配信サービスを使ってください。
そもそも、何をしているのか
エミュレータというのは、ざっくり言うと「あるコンピュータのふりをするソフト」です。
たとえば、昔のゲーム機には専用のCPUがあります。そのCPUだけが理解できる命令の並びがあって、ゲームソフトはその命令で書かれている。
エミュレータは、その命令を1つずつ読んで、今のパソコンが分かる形に翻訳しながら実行するソフトです。
通訳に近いイメージですね。「昔の機械の言葉」を「今の機械の言葉」に、その場で訳し続けている。

これ、実はすごく大変です
単に命令を訳すだけじゃないんですよ。
- 画面を描く仕組み(当時の特殊なグラフィック回路)を再現する
- 音を鳴らす仕組みも再現する
- しかも当時と同じ速度で動かさないと、ゲームにならない
- ボタンを押したときの反応の速さまで合わせる必要がある
当時のゲーム機は、部品の細かい癖まで含めて作られています。「この回路はこのタイミングでこう動く」という前提でゲームが書かれている。
だから、本当に忠実に再現しようとすると、とんでもない手間がかかるんです。
これを趣味で作っている人たちがいる、というのが正直すごいと思います。技術的には、かなり高度なことをやっています。
なぜ生まれたのか
理由はいくつかありますが、大きいのは「動く機械がなくなるから」です。
この連載でずっと書いてきたとおり、機械には寿命があります。
そして交換部品には限りがあります。バーチャルボーイの回で書いたとおり、生産数が少ない機種は、もう部品が手に入りません。
つまり、いつか物理的に遊べなくなる日が来るんですよ。
その前に、せめて動き方の記録だけでも残しておこう——というのが、技術としてのエミュレータが生まれた背景のひとつです。
これはゲーム考古学とかデジタル保存と呼ばれる考え方につながります。

ここが、はっきりさせておきたいところ
で、大事な話です。
エミュレータという「仕組み」と、そこに入れる「ソフトのデータ」は、別の問題です。
ここを混ぜて語られることが多いので、分けて考えてください。
技術としてのエミュレータ
「あるコンピュータのふりをする」という技術そのものは、ゲームに限った話ではありません。
仕事の世界でも普通に使われています。たとえば、
- スマホアプリの開発で、パソコン上でスマホの動作を確認する
- 古い業務システムを、新しいサーバーの上で動かし続ける
- 異なる種類のCPUのソフトを動かす
うちみたいな会社でも、開発の場面ではこの手の技術のお世話になっています。技術自体は、ごく普通のものです。
ソフトのデータのほう
問題になるのは、こっちです。
ゲームソフトの中身は、著作物です。作った会社に権利があります。
そして日本の著作権法では、コピー防止の仕組みを回避してデータを複製する行為は、私的利用の範囲でも認められていません。
つまり、「自分で買ったソフトだから何をしてもいい」わけではないということです。ここはよく誤解されています。
ましてや、そのデータを配布したり、ダウンロードしたりするのは論外です。
だからこの記事では、やり方には一切触れません。機材の名前も、サイトの名前も、手順も書きません。
じゃあ、どうやって遊べばいいのか

ここが今日いちばん伝えたいところです。
合法的に、昔のゲームを遊ぶ方法はちゃんとあります。
1.公式の配信サービスを使う
いちばん確実です。
任天堂にはNintendo Switch Onlineという仕組みがあって、加入するとファミコン・スーファミ・ゲームボーイ・その他の昔のソフトが遊べます。
ソニーにも同様のサービスがあります。
これ、権利者が正式に提供しているものなので、何の問題もありません。しかも、
- 今のテレビやコントローラーで快適に遊べる
- セーブがどこでもできる(昔は絶望的なポイントで詰んだものです)
- 電池切れでセーブが消える心配がない
正直、ただ遊びたいだけなら、これがいちばん快適です。
2.公式の復刻ハードを買う
いわゆるミニ系のハードですね。当時のソフトが最初から入った小型の復刻機が、各社から出ています(時期によっては品切れですが)。
これも権利的にクリアです。
3.実機を、直して遊ぶ
そして、これがこの連載でずっとやってきたことです(^^)
自分で買った実機を、自分で直して、自分の持っているソフトで遊ぶ。これは完全に自由です。
全部、何の問題もありません。自分のモノを直すのは、当たり前の権利です。
修理屋として、思うこと

ここからは、僕個人の考えです。
エミュレータの話をすると、だいたい議論が荒れます。「文化を守るためだ」「いや権利侵害だ」と。
僕は修理屋なので、ちょっと違う角度から見ています。
そもそも、実機が動かなくなるのが問題なんじゃないか。
この連載で20回、いろんな機械を開けてきました。そして毎回、同じことを書いています。
電池を抜いて保管してください。
これ、しつこいと思われているかもしれません。でも本気で言っています。
押し入れの機械が液漏れでダメになるたびに、遊べる実機がこの世から1台減るんですよ。
部品はもう作られていません。壊れた分は、戻ってこない。
だから僕は、「保存」というのは、まず物理的に直して残すことだと思っています。
もちろん、それにも限界はあります。いつかは全部壊れる。だからこそ権利者が公式に配信してくれるのがありがたいし、そこにお金を払うのが正しい形だと思っています。
結局、いちばん確実な保存は

最後にまとめます。
- 技術としてのエミュレータは、ごく普通の技術。仕事でも使われている
- ソフトのデータは著作物。自分で買ったものでも、吸い出しは法律に触れる可能性がある
- 遊びたいなら、公式の配信サービスか、復刻ハードか、実機を直す
- 実機を直して使うのは、完全に自由
そして修理屋からのお願いです。
押し入れの機械、電池だけでも抜いてください。
それが、いちばん手軽で、いちばん確実な「保存」です(^^)
スマホ119では、ゲーム機の修理・買取もやっています。動かなくなった機械も、電池の腐食くらいなら直ることが多いです。捨てる前に、いちど見せてください。
次回はいよいよ第2弾のラスト。押し入れのゲーム機、いくらで売れるのかという話をします(^^)
スマホ119は沖縄県内に8店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。スマホだけでなく、ゲーム機(Switch・PS・3DS・PSP等)の修理・買取も承っています。
画面割れ・バッテリー・水没・データ復旧など、お気軽にご相談ください(^^)
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