スマホ119 専務の現場ノート
専務ブログ現場から、次の119へ。
壊れたiPhoneを自分で直したあの日から、修理ひと筋で11年。いまは専務として全店舗の現場を回り、仲間の技術と心に火をつけるのが仕事です。スマホ119を責任持って引っ張っていく覚悟と、現場で起きているリアルを、そのまま書いていきます。
- 修理歴 11年たたき上げ
- 全 8 店舗現場を統括
- 育てる仲間と技術
背中で教えて、言葉で渡す。
こんにちは、専務の富村レオです(^^)
改造図鑑、第17回。今日はワンダースワンとネオジオポケットカラーを一緒に扱います。
どちらも1999年。僕が生まれた翌年です。
そして、どちらもゲームボーイに挑んで、勝てなかった機種です。
でも、この2台は今でも語られます。理由があるんですよ。

ワンダースワン:単三1本で、40時間
発売は1999年3月4日。価格は4,800円。
まず、この値段を見てください。4,800円です。
同時期のゲームボーイカラーが8,900円ですから、ほぼ半額。
そしてもうひとつ、とんでもない数字があります。
単三電池1本で、約40時間。
1本です。ゲームボーイカラーは2本で約20時間でしたから、電池半分で倍もつ。
これ、どうやったかというと徹底的に電気を使わない設計にしたからです。
- 画面はモノクロ(カラーを捨てた)
- バックライトなし
- 低消費電力の設計思想を全体に貫いた
設計したのは、ゲームボーイを作った人だと言われています。横井軍平さんという方です。
「枯れた技術の水平思考」——最先端じゃなく、すでに安く手に入る技術を、新しい組み合わせで使うという考え方で有名な人です。

縦にも横にも持てた
ワンダースワンの面白いところは、本体を縦持ちでも横持ちでも使えることでした。
ボタンが両方の向きに用意されていて、ソフトによって持ち替える。
今のスマホで縦画面・横画面を切り替えるのと同じ発想です。1999年にこれをやっているのが、なかなかすごい。
ネオジオポケットカラー:スティックが、気持ちいい
発売は1999年3月16日。価格は8,900円。
こちらはSNKという、格闘ゲームで有名な会社が出した機種です。
スペック的にはカラー液晶で、ワンダースワンより上。でも、この機種が今でも語られる理由はそこじゃないんですよ。
スティックの感触です。
マイクロスイッチという贅沢
普通、この時代の携帯ゲーム機の十字キーは、導電ゴムで作られています。第1回で書いたあの黒いゴムのパッドです。
安く作れて、静かで、押し心地は「むにゅっ」とした感じ。
ネオジオポケットは違いました。マイクロスイッチという、カチカチ音のする金属のスイッチを使ったんです。
結果、「カチッ」という明確な手応えが返ってくる。斜め入力も正確に入る。
格闘ゲームの会社らしい判断だと思います。入力の正確さに全振りした。

これ、実際にさわると本当に気持ちいいんですよ。今の感覚で言うと、メカニカルキーボードに近い。
コストは上がるし、音は出るし、故障の可能性も増える。それでもやった。こだわりって、こういうことだと思います。
で、なぜ両方とも勝てなかったのか
理由は、どちらも同じです。
ソフトです。
機械がどれだけ良くても、遊びたいゲームがなければ買われません。
当時、ポケモンをはじめとする人気シリーズは、ほぼゲームボーイに集まっていました。友達も全員ゲームボーイを持っている。通信ケーブルでつなげるのも、同じ機種同士だけ。
この「みんなが持っている」という力は、スペックでは崩せなかったんですよね。
これ、今のスマホでもまったく同じ話です。
性能で見れば良い端末はたくさんあります。でも「アプリが揃っているか」「友達と同じか」で選ばれてしまう。25年経っても、構造は変わっていません。
今、この2台が壊れるとしたら

1.電池の液漏れ(最頻)
もう毎回書いていますが、この2台は特に。
理由は乾電池式だからです。第1回のゲームボーイと同じで、入れっぱなしで25年経った個体は、ほぼ確実にやられています。
とくにワンダースワンは電池が1本なので油断されがちですが、1本でも漏れます。
2.液晶の縦線・コントラスト不良
この時代の液晶の定番です。ドライバICとの接続部が経年で弱ります。
3.ネオジオポケットのスティック
マイクロスイッチは「押した回数」で寿命が来ます。カチカチという手応えがなくなってきたら、スイッチのへたりです。
あと、スティックのキャップ部分が割れることがあります。ここは交換品が出回っています。
4.ワンダースワンのセーブ電池
ソフト側の話です。ポケモン金銀の回で書いたのと同じで、カセットの中のボタン電池が切れるとセーブが消えます。
改造メモ:どちらも整備しやすい

実は、この時代の機械は整備しやすいんですよ。
理由は単純で、まだ接着で組まれていないからです。ネジを外せば開きます。Vitaの回で書いた接着の時代は、まだ来ていません。
整備の順番は、
- 電池ボックスの清掃 — 液漏れの跡を落とす。まずここ
- ゴムパッドの交換(ワンダースワン)— 押し心地が戻る
- スティックまわりの分解清掃(ネオジオポケット)— ホコリを取るだけで復活することも
- 液晶の交換 — 部品の入手が難しめ
ひとつ注意点があります。この2機種は、部品の入手が難しいです。
ゲームボーイやDSと違って絶対数が少ないので、交換部品が市場にあまりありません。
だから僕としては、壊す前提の練習台にはしないでほしい機種です。慣れてから触ってください。
勝てなかったけど、間違っていなかった

この連載で、PSP goやゲームギアのように「勝てなかった機械」の話を何度か書いてきました。
ワンダースワンとネオジオポケットも、その仲間です。
でも、この2台が残したものは、ちゃんとあります。
ワンダースワンは「電気を使わない設計」を極めました。安く、長く動く。これは今のスマホの省電力技術に、思想としてつながっています。
ネオジオポケットは「入力の気持ちよさ」に全振りしました。今、高級なコントローラーやキーボードが「押し心地」を売りにしているのを見ると、あの判断は正しかったと思います。
どちらも、全部で勝とうとしなかったんですよね。1点に絞って、そこでは負けないものを作った。
これ、うちみたいな小さい会社にはすごく刺さる話でして。
大手と同じことをやっても勝てません。でも「ここだけは誰にも負けない」を作ることはできる。
うちの場合は「他店で断られた修理を、もう一回見る」がそれだと思っています。
スマホ119では、古い機種やマイナーな機種の相談も受けています。「どこも直してくれなかった」ものがあったら、いちど見せてください(^^)
次回はバーチャルボーイ。任天堂の中でも屈指の変わり種で、修理の世界でも有名な持病を持っている機種です。
スマホ119は沖縄県内に8店舗を構えるスマホ・iPhone修理店です。スマホだけでなく、ゲーム機(Switch・PS・3DS・PSP等)の修理・買取も承っています。
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